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2024.04.27

氏家克典氏にプロフェッショナル・アレンジャーPa5Xの魅力をお聞きした

 

氏家克典氏といえば、我々の記憶では日本の楽器業界において最も長い期間、最も多くの店頭でデモンストレーションを行っているアーティストの一人だと言える。我々はその氏家さんに昨年のクリスマス・イブの島村楽器 名古屋パルコ店のデモンストレーションを皮切りに実に全国5ヵ所においてPa5Xのデモンストレーションを行っていただいた。氏家さんのデモンストレーションはいつも分かり易いと大人気である。 今日はそんな氏家さんのプライベート・スタジオ「KATSUNORI UJIIE CREATIVE LAB」にお伺いし、Pa5Xの魅力と醍醐味についてお聞きすることにした。

​—— 氏家さんといえば、楽器店でのセミナーやデモンストレーションでは、活動期間、回数なども含めて日本で最も有名なキーボーディストだと思うのですが、コルグ製品との出会いはどの楽器からでしょうか?

氏家:コルグさんの製品ではMS-20に始まりTRIDENT、POLYSIXとアナログ製品に接してきました。特にMS-20はヤマハのCS-10、ローランドSH-101に比べて、マニア受けするパッチングもあって実験的シンセ遊びが本気で出来る仕様でしたよね。そして、ヤマハからDX-7、ローランドからD-50などのフルデジタル音源に移行するなかで、コルグ製品のDW-8000は私も使っていました。そして満を持してコルグからあのセンセーショナルなミュージック・ワークステーションM1が発売されるという、まさにデジタル・シンセ黄金期の中を生きてきました。丁度、そのころカラオケのMIDIデータの制作や、各社のシンセサイザーの使い方をレクチャーする精鋭集団のアイデックスという会社を立ち上げました。その頃のMIDIデータ制作は本当に忙しくてワンフロアに20人くらい集めてMIDIデータを毎日作らないといけないくらいの勢いでした。

 

その後、コルグから、PCM、モデリング、VPM(FM方式)などの複数のシンセエンジンを持った究極のワークステーションOASYSというシンセサイザーが発表になりましたよね。そのOASYSの音はもちろんですが、スタイルを自動生成するKARMA機能が突き抜けていましたよね。今風にいうとAIアルペジエーター機能で、世の中にアルペジエーターだけでも音楽が作れるんだということを知らしめた機能だと思います。このスタイル生成のアイデアは、コルグのその後の製品やこのPa5Xのスタイルのコンセプトにも脈々と受け継がれているように感じています。

  • MS-20

    MS-20

    1978年に発売のモノフォニック・シンセサイザー KORG MS-20。現在でも復刻版ミニサイズのMS-20 miniは好評発売中

  • OASYS

    OASYS

    マルチ音源システムを搭載した2005年発売のミュージック・ワークステーション KORG OASYS。 アルペジエーター/フレーズ生成機能であるKARMAエンジンを搭載していた

​—— 昨年12月24日の島村楽器 名古屋パルコ店でのイベントを皮切りに、全国5カ所でPa5Xの店頭セミナーを実施いただきましたが、氏家さんがPa5Xのここがすごいと感じるところは何でしょうか?

氏家:音色について言うと、正直今までの自動伴奏キーボードの感覚でいたらその音の本気度にぶっ飛びました。ワークステーションにも全然引けをとらないというか、サウンドは本当にしっかりしています。特にピアノやエレピの響きは凄くいいですね。さらに88鍵盤モデルで演奏するとそのサウンドの良さが良く分かると思います。Pa5Xには代表的なピアノ系のキーボードセットとして、Austrian Grand、German Grand、Italian Grand、Japanese Grandの4つのピアノがあるのですが、特にItalian Grandのサウンドはとても新鮮な響きがあって、いつまでも弾いていたくなる気持ちの良いピアノだと思います。

また、スタイルについては、いろんなところでも言ってきていますが、とても勉強になっていますね。あまり馴染のないジャンルの音楽をやる時に、そのジャンルを一から学習するって大変じゃないですか?そんな時このPa5Xのスタイルはそのジャンルの音楽が生まれた地域で活動しているミュージシャンが作っているのでとても参考になります。「Spaghetti Western」とかネーミングも含めてなかなか面白いですよね。またスタイルを聞いているうちにコード進行やメロディーラインのアイデアが下りてくることもあります。例えば、フラメンコだと通常の1625のコード進行じゃ面白くないので、 SUS 7th のテンション・コードを入れたほうがいいかな?とか私の探求心まで奮い起こしてくれます。

そうやって自分の今までの経験で培って来た引き出しと Pa5Xの本場のスタイルをかけ合わせることで、さらに新しい自分の引き出しを作ってくれるんです。それって新しいテイストのオリジナルの音楽が誕生するわけじゃないですか。なので自分を高めてくれるキーボードとしても使えると思います。

あと、ここ数年間の自動伴奏機能付きのキーボードって、アカンパニメントの音数が贅沢に鳴りすぎてややうるさい傾向があったと思うのですが、 Pa5Xは引き算でも演奏が成立するのが非常にいいですね。例えば、静かにピアノを弾いて聞かせたいときは、演奏中にバッキングを簡単にミュートしたりフェーダーで音量を下げたりできるので演奏バリエーションが広がります。実はこの引き算でも演奏のクオリティーが成立するってとても大切なことで、 Pa5Xにはダンス系とかヒップホップ系のスタイルとかゴキゲンなスタイルが入っていますが、全部のパートが鳴っているときは気持ち良かったけど、バッキング・パートが一つ抜けると 「あれっ?」とはならないところが凄いですよね。

氏家克典氏にお気に入りのピアノ・サウンドとスタイルで演奏していただいた

​——  今後の活動について教えてもらえますか?

氏家:只今絶賛制作中なのですが、この6月に3枚目のアルバム「MUSIC COLLAGE III」を発売予定です。このアルバムではPa5Xも使っています。現在、2冊の教則本と6巻の教則DVDも発売していますが、執筆活動や教則関係も精力的にやっていくつもりです。今年の8月くらいには自分のバンド「Katsunori Ujiie Super Project」のライブも計画しています。最新情報は私のホームページを是非ご覧ください。これからも生涯現役としてミュージシャン活動を続けていきたいと思っています。

—— ありがとうございます。これからも世界中のキーボード・プレーヤーにPa5Xの魅力を伝える働きにご協力をお願いします。本日はお忙しいところ貴重なお時間を頂きありがとうございました。

氏家 克典

Musician. Keyboard Player. Composer, Producer, Arranger
キーボード・シンセサイザー演奏、作編曲、音楽コンサルティング、音楽ソフトウェア企画制作、音楽教室運営、国内/海外デモンストレーション、研修、執筆活動などその活動は多岐に渡っている。特にデジタル楽器関連の分野では、その軽妙で豊かな経験に基づく語り口と独自の視点によるハイクオリティで斬新なプロデュース作品が、常に業界の注目を浴びている。
今まで手掛けたTVCM音楽や楽器内蔵デモ曲は数百曲、20年に渡っての専門誌での連載執筆、デモ演奏や研修で訪れた国々は25ヶ国以上、YouTubeで配信されたデジタル商品のレビュームービーは600本、8.5万人の登録ユーザー、3,500万再生回数を超え、世界中のミュージシャンやクリエイターから注目を浴びている。
演奏家、シンセサイザー・プログラマーとして様々な著名アーティストと共演し、日本や海外の楽器メーカー各社の製品でプリセット音色、デモ楽曲、パターンスタイル制作や監修などに携わっている。 氏家克典ソロアルバム「MUSIC COLLAGE」「MUSIC COLLAGE II “Love & Universe”」、6巻の教則DVD、2冊の教則本が大好評発売中。

<参加音楽団体>
一般社団法人 日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ JSPA(代表理事)
一般社団法人 MPN(監事)

Official Website: https://www.sitekatsunoriujiie.com/
X:@Katsunori_UJIIE
Instagram:@katsunori_ujiie
Facebook:@KatsunoriUjiieMusic

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